日時:2020年10月15日(木)~16日(金)
場所:民宿「たつみ荘」(神奈川県湯河原町
参加者:齋藤、早川、綾部、渋澤、杉本、徳永、中村、古山、峰崎、宮崎、山口(11人)

山里から一転、臨海部へ。今回は湘南の温泉保養地、湯河原での開催となった。定宿だった会津高原のペンション「エンドレス」は諸般の事情から見送りとなり、以前、何回かお世話になった民宿に会場を移した。コロナ禍の下、消毒と換気に配慮された対局環境もさることながら、兄妹で鮮魚・仕出店と民宿を営むという食環境に惹かれての決断であることは言うまでもない。「新しい生活様式」とやらが蠢くご時世に合わせて、対局では各自フェースシールドを装着。打って、語って、食べて、飲んだ、充実した1泊2日であった。それはまた、囲碁の奥深さとともに、合宿が今や人生の大切な、かけがえのない一部であることを思い知る時間でもあった。

1日目。湯河原駅に正午集合。北海道在住の峰崎さんと所用があった山口さんは少し遅れたが、9人(齋藤、早川、綾部、渋澤、杉本、徳永、中村、古山、宮崎)はそれぞれJR東海道線?で定刻までに駆けつけ、早々に始動。二手に分かれて駅近くで昼食をとり、その後うち揃い歩いて宿へ。午後1時過ぎには着いた。バスが走る国道から山手に少し入った静かなところにある二階建て。当局のお達しなのだろう、検温を受け記帳する。温泉が用意されているのが嬉しい。早速、浴衣に着がえ一風呂浴びる者もいれば、碁盤に向かう組も。フェースシールドが仰々しいが仕方ない。何年か後、そうした様子の写真を見たら「あんな時もあった」と思うのだろうか。

楽しみは夕食。海の幸がさりげなく、しかし豊かさをしっかり伝えるべく並んだ。カンパチの刺身やサザエの壺焼きは地の利をいかした美味さがあり、アワビのステーキに宿の心意気を感じた。酒がすすみ、お銚子があっという間に空く。仲間と好きな囲碁を打つことについてなのか、出された食事のことか、誰かが「夢のようだ」と言った。おそらく、両方を合わせてのことなのだろう。

宴会をお開きすると、対局室で打碁再開。その傍ら、飲み足りないのか、語り合いたいのか、部屋にお酒を持ち込むグループも。そこでは話は際限なく広がり、深まった(?)。直近の日本学術会議の人事問題から始まり、投票を3週間後に控えた米大統領選や存在感を増す中国の動向など国際問題に及ぶ。時間はとうに午前零時を回っていた。

それにしても、囲碁は難しい。技量が問われるのは当然としても、一方でメンタルの要素もある。その意味では優れて人間的だ。全局の形勢を観望して打つのだが、確定地と思った個所が目茶苦茶に荒らされ、緩着の代償を思い知る。また情勢互角の時、上級者の至妙を尽くすヨセ振りに打つ手が止まる。こうなると非勢は否めず、不意打ち(たれ)感は半端ではない。また、調和のとれた対局を見ていると、それは対局者の内面の品格を映している、と思うことがある。だから、囲碁は楽しい。

2日目。早起きの何人もが朝食前から碁石をつまんでいた。何年、いや何十年と打ってきたのだが、こればかりは飽きることがない。囲碁が「深い」所以でもある。食事を済ますと、今回はもう帰り支度だ。成績発表では、優勝は澁澤さん、対戦成績は6勝1敗だった。宿から湯河原土産として神奈川県指定銘菓のきび餅をいただいた。ありがとうございました。

宮崎 記