日時:2020年6月20日(土)~6月23日(火)
場所:ペンション「エンドレス」(福島県南会津町)
参加者:齋藤、早川、綾部、大森、渋澤、杉本、徳永、中村、古山、峰崎、宮崎、山口、吉沢(13人)

今回は、コロナ禍の影を随所に映しながらも、やはり、楽しく充実した合宿となった。出発前には長袖シャツ携行と移動時のマスク着用の「お触れ」がまわり、備えに抜かりはない。あの「自粛」への同調というより、我らの「自律」精神の発露であった。それはまた、合宿期間中のみならず、これまで30回を重ねた合宿の全行程を通じて流れる基調精神だった、といえる。

スタートの20日は、都道府県をまたぐ往来の自粛が全面解除されて初の週末だった。合宿日程はかなり早くから決まっていた。自粛続行中だったら、と思うと、「解除」はやはり、ありがたい。先発の7人(齋藤、早川、大森、杉本、中村、古山、宮崎)は、JR南浦和駅東口に例年より30分早い午前9時に集合。早川車で一路北へ、会津に向かった。往来自粛の解除と週末という割には高速道路の交通量はそれほど多くはない。東北自動車道を西那須野塩原ICで下りるころは昼食時。亡くなる寸前までこの合宿に参加された石弘光先生(元学長)が好んで寄った食事処で済ます。再び国道400号に戻り、塩原(温泉)を抜けて同121号、同352号を走った。曲がりくねった道に並行する鬼怒川の渓谷は数年前の鬼怒川決壊やその後の台風襲来のつめ痕がなお残るが、眼前に広がる白樺やブナ、カラマツの樹林、四方を山で囲まれた会津の緑が気分を癒してくれる。午後2時前には「エンドレス」に着いた。先発電車組の峰崎、山口両氏も略同時に到着した。

「この時」を待ちかねたように早速、対局が始まった。手には消毒薬を一吹き、対局だから横座りは無理だが、両隣は一席空ける。これらはいわばエンドレスオーナーの厳しい自主基準。外形的には「3密」も「ソーシャル・ディスタンス」もしっかりクリアしていた。楽しみの一つ、夕食は宿自慢の和洋折衷の特製ディナー。食材が多彩でバランスがよく、ワインや地元の日本酒も入り、毎度ながら、「いいね」。食事を終えると再び盤を挟んで向き合う。午後10時ごろまで続き、打碁が終えて話し込む者も。時計は午前零時を回っていた。

2日目。山口さんは所用のため午前中に東京に戻った。入れ替わるように、野岩鉄道で到着したのは後発電車組の綾部、渋澤、徳永、吉沢の4名。例年だと昼食を兼ね会津高原尾瀬口駅まで出迎え、駅前の「ふるさと食堂」で皆一緒に、「おばちゃん」の心尽くしの昼食をいただいてから宿に向かうのだが、今回はご主人が入院中で「お休み」のため、先発組は途中の番屋で待ちエンドレスオーナーが駅でピックアップしてきた後発組と合流し、全員でソバの昼食を済ませた。

「エンドレス」に着き、一息入れる間もなく総勢12人で対局が再開した。時折、うめき声も聞かれるが、静かに、しかし燃えるような熱い戦いが繰り広げられた。定石や形式に捉われず、自己の信ずる道を飽くまで進む。敢闘精神に年齢は関係ない。情勢的に先行し、あとは凌ぎに回ろうとする戦法も。概して石を取りに行くと失敗するようだ。ともかく、白(石)と黒が織りなす盤上は、単純そうで(そうであるから故に)奥が深い。

この日は、夜の「豪遊」が待っていた。桧枝岐方面にある木賊温泉、イワナ(岩魚)尽くしの「福本屋」で食事を楽しんだ。初めての利用ではないが、今回、コロナ禍により落ち込む地域経済を支えるため行政当局から「補助」が用意された。「それならしっかり地元で使おう」と直ぐに一決したが、はて、どこで、何を・・やはりあのイワナ酒付きのフルコースがいい、ということになった。二つの囲炉裏を囲み2時間余、イワナを形どったた大きなお銚子も、囲炉裏を一回りするとそこそこ空になる。何度お替りしたことか(下戸の方、スミマセン)。

実は、このころ、宿では異変が起きつつあった。

週明けの22日の3日目。朝、お世話役の早川さんが、「おーい、おにぎりを買いに行くぞ」。ペンションの食事を細腕一本で担う奧さまが前夜から腹部に激痛を覚え、朝食づくりができなくなった。幸い、「客」は我われのみ。朝食どころか、むしろ容態が気になった。囲碁はいよいよ佳境に入り、そろそろ成績が気になりだした。各自、全員と最低一局は打つのが原則なので、次第に相手を選べなくなる。それがまたいい。大森、峰崎、吉沢の3名はゴルフへ。後述の食事の席で成績を尋ねたら、「70台だったなあ」とすました顔で言う。やるなあと思ったが、どこからか「雨で14番ホールで終わったんだよ」と声が上がる。これには参った。ウソではないが、真実でもない、なーんて言わない。冗談やユーモアは大げさなほど楽しい。

その食事の席は、今回の圧巻であった。夕食も町でということになったため設けられ、ペンションのオーナーにも参加していただいた。お店は、南会津・田島の中華「菜華楼」。「補助」もあり、コース料理をお願いした。出てくる、出てくる。ボリュームたっぷりの豚角煮に始まり、独特な味付けの唐揚げ、甘さ控えめのエビのチリソース、パラパラ・サラサラのチャーハン、さらに特製スーラーメン・・。どれも美味しい。中でも小籠包は逸品、杏仁豆腐もシンプルでよかった。「雛にも・・」と言っては失礼になるだろうか。さらに、これが2000円を僅かに超えた値段というのには二度、驚かされた。次もまた来よう、来たい、と皆さんから声が上がった。

23日、合宿最終日となった。女将(入院)不在の朝食には、前夜、「菜華楼」での食べきれなかった分を、(中村さん采配で見事なパック詰め!!)持ち帰ったので、それ充てて十分だった。  その後、また何局か打ち、表彰式へ。

優勝は、Aクラスが10勝1敗の吉沢さん(6.5段)、これで3連覇。 Bクラスは17勝5敗の杉本さん(3段)。古山さん(4段)は最多対局者(28局)、優勝の吉沢さんを破った中村さん(5段)が特別賞としてそれぞれ表彰された。おめでとうございます。

30回目となった今回の会津囲碁合宿。まず、「後期高齢」になっても山里に集える意欲と体調を喜び合いたい。コロナ禍でネット碁が話題になったが、やはり人と人が向き合い、息づかいや表情に何かを感じながら打つのは全然違う。喜怒哀楽があり、単なるゲームという以上にすぐれて人間的行為といえる。囲碁を「手談」というのも分かる気がする。そのことを改めて感じた3泊4日であった。

今回、30回という節目にふさわしく様々なハプニングがあった。私たちの「食」を担ってくれてきたペンションの女将と「ふるさと食堂」の「おばちゃん」がともに一時、リタイア。存在の大きさを思う機会になった。夕食後の食事の帰り道、車のガス欠に冷や冷やしながら夜の山道を走ったスリル満点の気分が忘れられない。

奥さまは緊急入院され、ご主人(オーナー)の報告では手術待ちだが大丈夫とのこと。一日も早い快癒を祈るばかりです。皆さま、また集いたいものです。第31回が待っています。                                        宮崎勝弘43 (記)  早川L 補記

6/21夜 岩魚料理の福本屋にて

6/21夜 岩魚料理の福本屋にて

6/22昼 エンドレスにて 熱戦中の参加者

6/22昼 エンドレスにて 熱戦中の参加者

6/22夜 最後の晩餐 中華料理 菜華楼にて

6/22夜 最後の晩餐 中華料理 菜華楼にて

6/23 表彰式&集合写真 優勝Aクラス 吉沢君H Bクラス 杉本君E 最多対局賞 古山君B 特別賞 中村君F

6/23 表彰式&集合写真 優勝Aクラス 吉沢君H Bクラス 杉本君E 最多対局賞 古山君B 特別賞 中村君F