第35回囲碁愛好会(鳳雛会)合宿報告


日時:2022年11月6日(日)~8日(火)

場所:湯河原温泉「たつみ荘」(神奈川県湯河原町)
参加者:齋藤、綾部、佐々木、渋澤、徳永、中村、西村、古山、峰崎、吉沢、宮崎(11人)

 コロナ禍も一息か、と思っていれば、いやいや再び三度で「第8波」の入り口といいます。そんな状況ですが、我が囲碁合宿は気負うことも「コロナ」を甘く見ることもなく、粛々と実施されました。会場は前回と同じ温泉保養地の湯河原。そこで料理が評判の「たつみ荘」にお世話になりました。美味しい食事に好きな囲碁、そして温泉。小春日和にも恵まれ、学び舎を共にした仲間と過ごした2泊3日は至福の時空と言っても過言ではありません。参加同人の弾むよう表情がそれを物語っていました。

 6日正午過ぎ、JR湯河原駅前に集合。峰崎さんは在住の北海道から駆けつけてくれました。昼食のため駅近くの店に二手に分かれて入ります。食事を済ませ午後2時前に「たつみ荘」に着きました。宿は貸し切りで他に客はおらず、気兼ねなく過ごせます。早速、総当たりの対局が始まりました。コロナ対策もウイズ・コロナを地で行くように、各自が状況や必要性に応じてマスクをつけたり外したりしていました。こうした対局風景は最後まで変わりません。

 合宿の楽しみは何と言っても食事の時間。前回の合宿報告では多彩なメニューを紹介させてもらいましたので今回は控えますが、夕食の締めは一日目がうなぎ茶漬け、二日目栗ご飯というだけで充実ぶりが分かってもらえるのではないでしょうか。多彩なのは食だけではありません。談笑の話題もまたそうです。二日後に迫った米中間選挙や旧統一教会問題、プロ野球日本シリーズなど硬軟あわせて持ち出されました。

 それでもやはり、主軸となるのは囲碁のことです。終えたばかりの対局の感想戦から囲碁界の動向まで話が尽きることはありません。今回、合宿直前に囲碁名人戦の第7局(最終局)が打たれ、芝野虎丸九段が井山裕太名人を破り、「名人」を奪還するというビッグ・ニュースがありました。これについては、峰崎さんが書いておられるコラム(の一部)がここに併載されております。立会人の張栩九段の話を題材にされてます。張栩九段はこうも言っています。「命を削らないと30歳を過ぎてから第一線では戦えません。駄目になるのは一瞬です。いつかは輝きも曇るのに、どうしたら誇り高く生きていけるか」と。凡俗の小生には別次元の世界のことですが、囲碁の奥深さを改めて見たように思いました。

 最終日の8日は午前10時で一応打ち納めとなりました。優勝は前回と同じ齋藤さん(11勝0敗)、準優勝が中村さん(14勝5敗)、ブービーは徳永さん、最多対局者は宮崎(25戦18勝7敗)。中村さんは「表彰されたのは初めて」と喜色満面でした。自由と規律が保たれ、笑いが絶えなかった三日間。季節はいつしか立冬を迎えていました。最後に、前回報告を繰り返させてください。「また集い、打ち、話したいものです」 

(宮崎記)

「囲碁合宿と名人戦」  峰崎直樹D(記)


 6日から2泊3日で恒例となっている「囲碁合宿」に参加する。大学時代の同級生を中心に「鳳雛会」という名前を故石弘光先生からつけていただき、今日まで春と秋の年2回、10数名が湯河原の温泉旅館で対局するわけだ。みんな80歳に近い後期高齢者の集団ではあるが、なかなかどうして意気軒昂である。

 囲碁と言えば、つい最近の名人戦が思い出される。井山名人に対して史上最年少の19歳で名人となった芝野虎丸9段が挑戦した今回の名人戦、初戦は井山が制したものの続く第2戦から芝野が3連勝、今年は芝野が名人位をすんなりと奪還かと思いきや、続く5戦、6戦と井山が制し(名人にふさわしい碁・・張9段)いよいよ第7戦、結果は最後の最後に名人の大石を取り切って芝野が勝利へ。ユーチューブではなく朝日新聞の夕刊や朝刊でその棋譜を見ながら楽しんでいた。その朝日新聞11月5日付朝刊では第7局の丁寧な解説が大きく取り上げられていたが、当日立ち合いを務めていた張栩9段のコラムが実に味わいのある興味深いものだった。これからの芝野名人には「歴史に残る棋士に成長するかもしれない」と初めて思わせ、これからの井山さんは「苦しむ姿も魅力的に映るはず」とのべ、張栩9段自身も井山さんに「好敵手だと思われる棋士として在りたい」と述べている。井山1強からどう囲碁界が変わっていくのか、これから楽しみな時代が待ち受けているようだが、闘っている棋士たちは文字通り「命を削りながらの戦い」の連続なのだ。

 われわれはアマチュアのザル碁、それでも結構熱が入ったりして「命の洗濯」をしているわけだ。(終)