日時:2022年6月12日(日)~14日(火)
場所:湯河原温泉「たつみ荘」(神奈川県湯河原町)
参加者:齋藤、早川、綾部、伊東、大森、佐々木、渋澤、杉本、中村、西村、古山、峰崎、山口、吉沢、宮崎(15人)
3年目に入ったコロナ禍はようやく落ち着きをみせ、訪日観光客の受け入れも再開された。終わりの始まりなのだろうか。ともかく、ウイズ・コロナ基調とするなか、会場を山里・会津から相模湾を臨む湯河原に移しての我らが囲碁合宿は、厳しい勝負の場にあっても笑いの絶えない心休まる2泊3日であった。参加同人の合宿への思いがそうさせたことは言うまでもない。
初日の12日。既に梅雨入りしていたがこの日はまずまずの囲碁日和。各自、最寄りの駅から指定された東海道線に乗り正午過ぎ、JR湯河原駅前に集結した。北海道から駆けつける峰崎さんやゴルフがあるという大森さんらからは事前に遅れると連絡が入っていた。
「腹が減っては・・」とまずは腹ごしらえ。総勢10人を超えるため二手に分かれ、同駅近くのお店に入る。湯河原は古くからの別荘地、なかなかの店が少なくない。食事を済ませると、マーケットでワインなどを少しばかり買って宿へ。午後2時前に「たつみ荘」に着いた。
温泉宿でもあり、早速、一風呂浴びる人も。しかし、殆どの人はその時間も惜んで直ちに対局開始。程なくして大森さん、峰崎さんも到着。総勢15人による総当たりの対戦である。「コロナ」の感染防止は、まず宿が検温やアルコール消毒など行き届いた用意があり、これに対応すれば十分といった感じだ。マスクも「密」の状況や必要性に応じて各自がとつけたり外したりした。ウイズ・コロナの定着とはこういうことではないかと思わせる。対局は夕刻まで賑やかに、しかし破目を外すことなく続いた。
合宿の大きな楽しみの一つは、宿の食事。「たつみ荘」のそれは料理旅館といえるほど充実していた。魚やが営む民宿と聞けば、さもありなん。お品書きこそないが、初日の夕食は、マグロやタイの刺身の造りに生き貝、アワビの陶板焼きと車エビの塩焼き、ホタテのクリ―ム、筑前煮。まだある。南蛮、カルパッチョ、茶わん蒸し。締めはタイ茶漬け、フルーツはメロン。二日目はというと、カツオのタタキ、ホタテ貝焼き、鱧。茄子のグラタン、サザエ、ぶりの照り焼き、煮物もあり、茶わん蒸しも。フルーツはスイカ。朝食がまたいけた。アジの開きやタタキ、蒲鉾やわさび漬けなど地元の特産が並ぶ。半数以上の方がごはんのおかわりをした。美味・良質を何より物語っていたといえる。
食事を終えると再び盤に向かう。対局の合間をみて温泉に入りそのまま休む人も。多くはまた碁石を握る。午後10時ごろまで続いた。なかには一局終えて話し込むうちにまた打ち始め、両者が部屋に戻ると午前零時を回っていた。
2日目。山口さんと杉本さんは所用のため午前中までで宿を後にした。総勢13人で対局が再開。昼食のためか外出した以外は終日、打ち続けた。そこでの風景の基本構図は「考える」。といっても、思想や理念の追究ではない。眼前(盤上)で繰り広げる現実への対処である。進むか、退くか。容易に決断がつかない。局地戦で戦果を挙げても一局打ち終えて負ければ、戦術的にいい思いをしただけで戦略的には失敗ということになる。個と全体の関係をどう考えるか、バランスのとり方が求められる。今回の対局では「秒読み」はしなかったが、それを限られた時間内でしなければならない。ここでの「考える」とは「決断する」ための道筋探しなのかも知れない。さらに、人間的(人格的)要素も加わってくる。改めて囲碁の世界は奥が深いことを思い知らされる。
3日目。朝食後、いや食事前から打ち始め、午前10時で一応打ち納めとなった。帰り支度と並行して表彰式へ。
優勝は、A組が齋藤さん(11勝2敗)、B組は早川さん(12勝11敗)、ブービーは、A組が古山さん、B組は大森さん、最多対局者は宮崎(24局)。秘かに連覇を期していた(であろう)吉沢さんが苦杯をなめた一方、大森、綾部、西村さんが高段者を破り、対局場で声があがった。
今回、コロナ・パンデミックとロシアのウクライナ侵攻(こちらは囲碁合宿とは関係ないが。しかし、話題にはなった)という大波のなかでの「合宿」となった。不条理が横行すれば、そうした状況を思い出すことがあるかもしれない。ともかく、誰もが遠慮することなく自由に振る舞い、だからと言って一線を超えて暴走することはない。笑いが絶えず、文字通り談笑で満たされる。解放感に満ちた心休まる2泊3日だった。また集い、打ち、話したいものです。
宮崎(記)
